さて、今回は論文の問題文の読み方について、考えてみたいと思います。
例えば、私が問題文を作るとしたら、その方法は大きく分けて2つあります。一つは、書いてほしい論点を考えて、その論点を抽出するための事実、あてはめで使う事実を考えるという方法です。もう一つは、判例の事案を参考にして、基礎的な問題であれば、判例そのままを問題文として出すか、応用的な問題文を作るのであれば、判例の事案を少しだけ変えるという方法です。
前者の方法で作成した問題であれば、問題文には、論点を抽出するための事実が示されている訳ですから、何を書くべきかは問題文に表れています。とすれば、当該論点の問題の所在をしっかりと理解していれば、その事実が論点を抽出するための事実ということに気付けるわけですから、書くべき論点に辿り着けるわけです。
このように考えると、実はインプットがしっかりとしていれば、自ずと書くべき論点に気付けるわけです。だからこそ、日頃の勉強では、問題の所在、即ちなぜそれが論点となるのかという点についてしっかりと理解をしておくことが重要です。
後者の方法で作成した問題ではどうでしょうか。例えば、その判例が著名なもの(百選掲載判例)であれば、それは勉強していて当たり前なので、書くべき論点はすぐに思いつくでしょう。
では、著名な判例ではなく、マイナー判例で百選にも掲載がないような判例や裁判例から問題が出た場合はどうしたらよいでしょうか。恐らく、一見して書くべき論点を把握することは困難かと思われます。このような出題方法は司法試験でも、たまに見られます。
このような問題に出会ったとき、まずは、落ち着いて問題文を読んで、どのような事案なのかをしっかりと把握しましょう。その上で、設問に従って、何をどのように考えたらよいかを考えてみてください。その出発点となるのは、日々の勉強で培った基本的理解です。
その基本的理解を基にして、もう一度問題文を考えてみてください。そうすると、うっすらと論じることが浮かんでくるはずです。ここの部分は科目ごとによって異なるので、それについては科目ごとの特性を別の機会に紹介しますが、基本的な理解から論じ始めるということは共通しています。
以上のことから、論文式試験については、問題文にヒントが隠れています。したがって、問題文をしっかりと読んで、事案を把握することによって、論じるべき点が見えてくるわけですから、「問題文に書くべき論点のヒントが隠されている」ということを意識しながら、問題文を読むことが重要なのではないかと私は思います。
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