指導体験記:令和5年司法試験合格者Bさん

個別指導体験記

今回ご紹介するのは、令和5年の司法試験に1回で合格された方の指導体験記です。

この方は、非常に真面目で、着実に力をつけて合格された方です。結構な大作を書いていただいたので、もしよろしければ、最後まで読んでいただけると嬉しいです!

指導体験記

1 略歴

日本大学法学部法律学科法職課程 卒業(2021年)

慶應義塾大学大学院法務研究科法曹養成専攻既修コース 修了(2023年)

2 指導内容

⑴ 学部時代

ア ゼミナール

学部時代は、法曹志望者の多くが在籍する司法科研究室に所属し、2・3年次に(4年次は新型コロナウイルスの影響であまり参加できませんでした)泉谷先生が開講するゼミナールに参加していました。

その中でも特に印象に残っている3年次に受講した論文答案の書き方を中心的に学ぶ「論文基礎力養成ゼミナール」について詳述します。

本ゼミナールでは、学部3年生では未だ正確に理解できていない司法試験(論文式試験)における答案の書き方を実際の事例問題を通じて解説して頂きます。

市販本では説明がされていない答案の書き方を解説して頂くとともに、適宜質疑応答が交わされることで、どのように書けば(あるいは、書かなければ)試験委員に評価される答案になるのかを学ぶことができました。

本ゼミナールでは、はじめに答案のイロハを解説してもらい、次からは事例問題を解き、その答案を先生に採点して頂きます。答案の基礎を学び、それを理解することと、それを実際に答案で表現できることは違うと私は思っています。

そのため、添削を頂いた答案は、△マークや×マークのオンパレードでした。多くの添削では、「〇〇は不適切です」、「〇〇の箇所の表現部分は、もう一度見直してください」という内容で終わるのが多いかと思われます。

しかし、本ゼミナールでは、答案に書いたからには理由があるはずであるとして、「なぜそのように考えたのか」、「なぜそのように思うのか」、「どのように書けば(正しく)理解していることが採点者に伝わったのか」、といったことをソクラテス方式で問答します。

そのため、評価される答案を書いた人と先生との問答を聞き、問題文の事実の読み方や使い方、検討過程など当該問題を処理する一から十を学ぶことができるとともに、他方で、自分の理解が不正確・不十分あるいは誤っているところを発見できました。

また、学習が進んでいる先輩の答案や先生との問答を拝見、拝聴することで、考え方の視点をいわばストックすることができました。このような答案添削をして頂くことで、自分の答案の癖や弱点などを逐一修正することができ、徐々に評価される答案へと成長することができました。

さらに、本ゼミナールの特徴として、縦の繋がりを持てる点が挙げられます。本ゼミナールには学習が進んでいる先輩方も参加していたため、先輩方に勉強の苦労や躓いている箇所の質問などをすることができ、アドバイスを頂くことができました。

結果を残している先輩方が身近にいることで、到達すべきレベルが分かり、勉強の方向性を見誤ることなく進めていくことができました。

イ 自主ゼミ

私は、学部時代に同期数名と自主ゼミを組んでいました(その後、それぞれが別のロースクールに進学したため、自主ゼミとしては解散しました)。しかし、学部時代はロースクール時代と異なり、勉強(主にインプット)の進捗度、勉強スタイル、進路設計等が各々違うため、思うように自主ゼミを進めていくことができませんでした。

もちろん、私が自主ゼミに誘った以上、責任をもってゼミを進めていく必要がありますが、どのように舵取りをすれば良いのか当時の私には分かりませんでした。そこで、泉谷先生に相談したところ、ロースクール時代の自主ゼミの成功例・失敗例を紹介し、私たちがやっていきたい自主ゼミの構築や計画立て、答案添削などまで面倒を見て頂けることになりました。

司法試験の勉強はかなりの長期にわたるものです。そのため、勉強面の充実のみならず、精神面が充実していることも必要であると思っています。

あのとき、大変なご迷惑をお掛けしてしまいましたが、泉谷先生に相談し、精神的に支えて頂いたことは、非常に恵まれたことだったと痛感しております。

⑵ ロースクール時代

制度上、難しいということはありますが、ロースクールには、学部のような答案を添削してもらえるような機会は多くなかったため、泉谷先生に答案添削をお願いしました。

ロースクール入試は突破しており、最低限の法的知識や答案作成はできるものの、司法試験との関係では未だほど遠い答案を、合格レベルにまで向上させるため、過去5年分の過去問(7科目)を採点して頂きました。

そこでは、学部時代のような基礎的な指摘というよりは、私の答案に特有の良くない癖などを鋭く指摘して頂きました。ロースクールの期末試験等においても成績評価(相対評価)はされるため、私の答案の出来をある程度は把握することはできたのですが、答案特有の癖などを指摘してもらえる機会はなかったので、答案を第三者に見てもらうことの重要性を痛感しました。

3 良かった点・改善した方がいいと思った点

⑴ 良かった点

やはり答案に対する添削・コメントが充実している点が挙げられます。

これは他の採点者の方に比べて丁寧であるということだけではありません。これは、先生がよく仰っていた「受験生が本気で答案を書いているのだから採点者も採点を本気でしなければならない」という考えの現れだと思われます。

答案に対し、なぜ点数を与えることができないのか(あるいは、評価されたのか)、それを指摘してもらえます(予備校の答案添削ではここまでの指摘はされないことが多いと思います)。

それは体系的な理解の誤りである場合もあれば、表現方法の不正確性などによる場合もあります。いずれにせよ、減点や加点をする際にはコメントが付されているため、減点や加点がされたものの、イマイチその理由が分からないということがありません。

これにより自分の答案の良い部分はそのままに、悪い部分は改善すべき方法等がわかり、正しい方向に修正することができます。そして、その結果として、短期間での答案の質の向上に繋がったと思います。

また、上記と重複する点ではありますが、泉谷先生の答案添削では、良い点については、しっかりと「良い」という評価してもらえます。適切な論述(特に、当てはめなどの受験者個々人の法的評価が伴う部分)について、しっかりと「良い」とコメントをもらえることで、自信をもつことができました。

⑵ 悪かった点

私個人的には「悪かった点」というものは思い当たりませんでした。

4 添削について

添削については、「良かった点」にまとめて記述しましたので、そちらを参照頂ければと思います。

5 全体的な総評

私が司法試験に1回目の受験で合格できたのは、泉谷先生のゼミナールで論文の基礎力・応用力を徹底的に学んだこと、添削を頂いたことが大きいと思っています。

私の受験生活は、泉谷先生の献身的な支えがあったからこそ1回で終えることができました。非常に感謝しております。誠にありがとうございました。

最後に

この指導体験記をいただいて、私が嬉しかったのは、「受験生が本気で答案を書いているのだから採点者も採点を本気でしなければならない」という言葉を覚えていてくれたことです。

私は常にこの言葉を意識しながら、添削に当たっております。また、私がこの仕事を志すスタートにもなった言葉でもあります。

そんな言葉を覚えてくれていたのは、とても嬉しく思いました!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いた人
ナオ

平成25年度の予備試験に合格。平成26年度の司法試験に合格。平成28年に弁護士登録。

都内で弁護士として実務に携わりながら、某大学法学部で司法試験、予備試験志望の学生のゼミで指導員をするとともに、司法試験予備校の論文答案添削など、司法試験の受験指導に積極的に取り組むサッカー大好き弁護士です。

個別受験指導もしています。

Twitter(https://twitter.com/nao_izumiya)

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