司法試験勉強用ベーステキスト作成のススメ

司法試験の勉強法

このブログでは、「ベーステキスト」という言葉を使っていますが、これについて解説して欲しいという要望を受けましたので、今回は、ベーステキストについて説明したいと思います。

司法試験勉強用のベーステキストとは

「ベーステキスト」というのは一般的な言葉ではないかもしれませんが、司法試験受験生時代の私の周囲で使われていた言葉です。

司法試験用の教材を自分用にカスタマイズしたもので、それ一冊で重要な知識の確認や試験直前期の総復習に使用するものを指しています。

素材にする司法試験用テキストの選び方

ベーステキストを作成する前提として、まず、「何を素材にしてベーステキストを作るべきか」という疑問を抱くと思います(実際にそういった質問も少なくないです)。

ちなみに、私自身は予備校に通っていたので、予備校の基礎講座のテキストを素材にベーステキストを作成していました(科目にもよりますが)。

では、どのように素材テキストを選んだらよいかということについてですが、大まかな基準として、

  1. それなりに多くの受験生が使用していること(シェア率)
  2. 通読に時間がかかり過ぎない程度の分量であること(ボリューム)
  3. 著者の考えよりも、判例や学説について十分な説明がなされていること(内容の一般性、網羅性)
  4. 自分が使いやすいこと

この辺りが選定基準となると思います。

また、ネットで「司法試験 基本書 おすすめ」と検索すれば、多くのページが出てくるので、これらの情報を参考にするのもいいと思います。

一つ注意しなければならないのが(2および3と関連してくると思います)情報の多さを優先してしまうと、結果的に相当厚い本を選ばなくならざるを得なくなってしまう点です。

そういった本は、辞書的に使用するという点では有用ですが、ベーステキストは何回も繰り返し読み込むことを前提しているので、あまりにページ数が多いものは向きません。

後述しますが、情報は後から追加できますので、基本的な事項が網羅されていれば十分です。

まずは、ある程度の網羅性があり、それなりの受験生が使用している、自分がそれほど時間をかけずに通読できるテキストを選ぶのがいいと思います。

なお、予備校本をベーステキストにするのも全く問題ありませんので、基本書だけでなく、各予備校から出ている基本テキストを素材にするのもいいでしょう。

なお、私は、民法と刑法以外は、判例百選もセットにして学習していたので、直前期には、ベーステキストと百選を読めば準備完了ということを目的として、百選にも書き込みをしていました。

判例百選への書き込みについては『司法試験対策:判例百選の加工のすすめ』をご参照ください。

司法試験用テキストをどうやってベーステキストにするか

次に、どうやってベーステキストとして「育てていくか」についてですが、大きく分けると「重要部分のマーキング」と「情報の一元化」の2つを行うことになります。

重要部分のマーキング

まず重要部分のマーキングですが、この点に関しては、どう作り込んで行けば使いやすいのかについては個人差が大きいので、自身が使いやすいように加工してもらえればいいのですが、重要なのはメリハリをつけるということです。

言い換えれば、復習のときに「目的に応じてここだけ読めばいい」ということを明確にしておくことが大切だということです。

参考までに私が作成したベーステキストを紹介します。

私は、主に、赤ペン、ピンクの蛍光ペン、オレンジの蛍光ペン、黄色の蛍光ペンを使っていました。

  • 赤ペンと黄色の蛍光ペンは、重要な点
  • オレンジの蛍光ペンは、項目・問題提起
  • ピンクの蛍光ペンは、自分が採る説の反対説

という使い分けをしていました。

例えばこれをすべて同じ色の蛍光ペンで塗りつぶしてしまうと、どこを読んだらいいのかがわからなくなってしまいますので、復習の効率が上がりません。

私のサンプルを少し詳しく見てもらうと、オレンジの部分を読んで、その後に赤ペンの線や黄色の蛍光ペンの部分を読めばいいということがわかると思います。

あくまで私が使いやすいように作成したものなので、万人にとってわかりやすいカスタマイズではないかもしれませんが、自分がどうテキストをカスタマイズすればいいかのイメージは持ってもらえるのではないでしょうか。

それと、テキストにラインを引きはじめると、どれも大切な情報に見えてきて、むやみやたらとラインを引いてしまって、ラインだらけになってしまうということがよく起きます。

これでは復習の効率が上がりませんので、なるべくラインを引く部分を減らすということを意識してみてください。

情報の一元化を図る

もうひとつの「情報の一元化」については、「これ一冊で」という状態に持っていくために重要な作業になります。

こちらも参考までに私のベーステキストを紹介します。

この画像の下部に、私自身が書き込んだ部分があることがわかると思います。

これは、司法試験の択一を解いて、素材テキストに記載がなかった判例について書き加えたものです。

このようにして、「素材テキストに載っていないが司法試験のために必要な知識」を追加していって、情報を一元化していき、直前期にベーステキストを読めば済むようにしていました。

最後に

ここまで読んで頂いた方なら薄々お気づきかもしれませんが、ベーステキストの加工の目的は、

  1. テキストのメリハリづけ、
  2. 情報の一元化

この2点に尽きます。

したがって、この目的が達成できるのであれば、どのような方法でも構いませんので、とにかく自分が使いやすいようなものを作成してみてください。

今回は参考までに、私の加工方法をご紹介させていただきましたので、もしよければ、参考にしてみてください。

この記事を書いた人
ナオ

平成25年度の予備試験に合格。平成26年度の司法試験に合格。平成28年に弁護士登録。

都内で弁護士として実務に携わりながら、某大学法学部で司法試験、予備試験志望の学生のゼミで指導員をするとともに、司法試験予備校の論文答案添削など、司法試験の受験指導に積極的に取り組むサッカー大好き弁護士です。

個別受験指導もしています。

Twitter(https://twitter.com/nao_izumiya)

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