論証パターン。

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今日は論証パターンについて。

我々がロースクールに通い始めた頃、論証パターンは害悪であるかのように言われていました。論証パターンで書いた答案は高い評価を得られないとまで言われていました。しかし、私が合格した年、私は自分で数科目について論証パターンを自分で作って試験に臨んでいました。そして合格できました。

さて、論証パターンは害悪でしょうか。自分で作ったのはOKで予備校が作ったのはNGだとしたら、それはなぜなのでしょうか。

まず、論証パターンが害悪かと言われれば、答えは半分YESで半分NOだと思います。要は使い方の問題だと思うのです。論証パターンというのはあくまでもツールにすぎません。既存の著名な論点について現場で考えている暇などありませんので、論証パターンを使って、その論点についての規範定立を行うということについては非常に有効なツールといえるでしょう。

他方で、論証パターンを無思考で丸暗記した場合、そのツールを正しい場所で正しく使うということができません。なので、論証パターンだけやっていれば大丈夫ということはありません。あくまでも一つの勉強のツールにすぎません。

したがって、論証パターンが害悪か否かは、使う人の意識次第ということになります。ちゃんとした使い方をすればとても有効なツールだと思います。

では、次に、自分で作ったものと予備校が作ったもの、何が違うのでしょうか。

それは、自分で論証パターンを作ろうとした場合、当然長々とした論証を作るのは実践的ではないので、コンパクトな論証を作ろうとします。そうすると、例えば判例の文言をそのまま使うとすごく長くなってしまうから、どこが削れるかということを考えます。

そうすると、その判例がいっていることのエッセンスは何なのかということを考えながら論証を作ろうとしますので、一つ一つしっかり勉強しながら、論証を作りますので、論証を作り終わった段階である程度理解が出来ているというメリットがあります。

また、自分で論証を作るのですから、当然現場で書きやすい言葉に変えたりすることが出来るので、自分の言葉で論証を作ることになり、これも作成段階の理解を進める一助となります。

デメリットとしては、時間がある程度かかってしまうということですかね。そのデメリットを補ってくれるのが、予備校が出している論証パターンです。今だと、趣旨規範ハンドブックというのが人気なんですかね。

これは、人があらかじめ作ってくれたものなので、お金さえ払えば時間をかけずに論証パターンが手に入ります。ただ、他人が作ったものですので、自分と合う合わないというのがありますし、上述の通り、丸暗記しようとすると誤った利用方法にもつながってきます。

要するに、自分が作ったものと予備校が作ったもののメリットデメリットは表裏の関係にあるということですから、どちらがいいかはその人それぞれです。

長々と話してきましたが、要は論証パターンは一つのツールにすぎないということと、使い方次第で害にもなるし利益にもなるということです。何のために論証パターンを使うのかということを考えて使うと、誤った利用方法にならないと思います。

この記事を書いた人
ナオ

平成25年度の予備試験に合格。平成26年度の司法試験に合格。平成28年に弁護士登録。

都内で弁護士として実務に携わりながら、某大学法学部で司法試験、予備試験志望の学生のゼミで指導員をするとともに、司法試験予備校の論文答案添削など、司法試験の受験指導に積極的に取り組むサッカー大好き弁護士です。

個別受験指導もしています。

Twitter(https://twitter.com/nao_izumiya)

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