司法試験の集団指導(ゼミ):個別指導との比較

司法試験の勉強法

現在、私は個別指導を中心に活動しておりますが、受験指導のスタートは、某私立大学の受験指導機関の「ゼミ」で、そこで多くの予備試験・司法試験合格者を輩出することができました。

そこでそのときの経験も踏まえつつ、今回はゼミ形式について、個別指導と比較しながら少しご紹介します。

今回は主にゼミナール形式の集団指導についてお話します

今回お話しする集団指導は、私が普段行っているような、「事前に受講生に課題を検討してきてもらい、ゼミ内で質疑応答しながら解説していく」という、いわゆる「ゼミ」です。

もちろん他にも、講師だけが話す講義型であったり、講師はあくまで進行役に過ぎず、受講生が中心になって話を進めていく型であったりすると思いますが、今回はこれらについては話しません。

ゼミ形式のメリット

ゼミ形式のメリットを簡単に挙げると、次のような感じになります。

  • 勉強仲間ができる
  • 受験生同士で高め合うことができる
  • 自分以外の答案(思考)を知ることができる

他にもあると思いますが、一先ずこんな感じでしょうか。

まず、勉強仲間ができるというメリットがあり、このメリットはとても大きいと思います。2番目に挙げたメリットとも絡んでくるので、併せて説明します。

多くの社会人の方、或いは、学生だけど周りに司法試験を目指している人がいない方。この2つのパターンの受験生に共通しているのは「勉強仲間がいない」ということです。

勉強仲間がいないと、競争相手もいませんし、答案を書いても比較対象がいません。つまり、自分が今どれくらいの位置にいるのかわからないのです。

これは、個別指導を受講しても払拭できません。講師が比較対象になることはないからです。

野球の大谷選手がWBC決勝のアメリカ戦前、「憧れだけでは超えられない。」という趣旨の発言をし、注目を浴びました。多くの受験生にとって講師は超えるべき存在ではありません。故に、講師を比較対象とし、講師を超えて合格しようという受験生は少ないと思います。

ただ、それが勉強仲間ならどうでしょう。同じ目標を持ち、切磋琢磨する存在であれば、比較対象になりますし、自分よりも上であれば、超えよう、または肩を並べたいと思えると思います。そういった存在がいることにより、一人で勉強しているだけでは生まれない「競争心」も生まれるようになり、勉強のモチベーションになります。

また、同じ目標も持ち努力している者同士だからこそ、不安や悩みを共有できますし、相談することもできます。この試験に挑戦していない人に、この試験の不安や悩みをわかってもらうことは、どれだけ仲が良くても難しいと思います。

私のゼミでは、学年指定がありませんので、大学1年生もいれば4年生、ロー生もいます。大学1年生からすれば、上級生から学ぶことは沢山あると思います。上級生も1年生から基本的な姿勢を学び直すきっかけになるかもしれません。

なので、勉強の進捗状況が異なる受験生が同じ教室にいても切磋琢磨することが出来るのです。その結果、お互いを高め合うことも可能になります。当然ですが、同級生同士でも同じことがいえます。

これが1つ目と2つ目のメリットです。

最後に、3つ目のメリットについてですが、上でお話しした通り、私のゼミには勉強の進捗状況が全く異なる受験生が同じ教室にいます。

そのような中で質疑応答すると、当然いろいろな考え方が出てきます。また、私がある受講生の答案を参考答案として配布すれば、自分以外の受講生の答案を見ることが出来ます。

色々な考え方に触れ、また、他人の答案を知ることによって、講師以外から多くのことを学ぶことが出来ます。

ゼミ形式のデメリット

ゼミ形式のデメリットとしては、次のようなものが考えられます。

  • 受け身だと効果が出にくい
  • わかった気になってしまうリスクがある

1つ目のデメリットですが、メリットのところで紹介したものは、ゼミを積極的に利用する結果得られるメリットです。積極的に発言し、人の意見に耳を傾け、良い部分を吸収する、いずれも積極性から生まれるものです。

逆に、受け身で、ただ聞いているだけ、講師の言っていることを何となく聞く、これでは、ゼミ形式のメリットを享受できません。なので、こういった姿勢ではゼミの効果は十分に得られないと思います。

また、2つ目のデメリットについてですが、自分は理解していないけど、周りの発言等から、なんとなくわかった気になってしまうリスクがあることです。

皆さんの中にも、「友達と勉強していて、わかっている友達から話を聞いて分かった気になって家に帰って復習しようとしたら、何もわかっていなかった」という経験をしたことがある人は、それなりにいるのではないでしょうか。

わかった人の話を聞き講師の質疑応答が進んでいくと、その時は何となく理解した気になるけど、実際は理解していないってこと、少なくないと思います。

個別指導とゼミ形式

私は、現在もゼミを持っていますので、個別指導とゼミの両方に携わっています。

両者をみると、両者は排他的な関係にあるわけではなく、相互でメリットとデメリットを補完し合う関係にあると思います。

なので、可能であれば両方を上手く使っていくのが良いと思います。

最後に

ゼミ形式の学習で大事なのは、積極性です(もちろん個別指導でも積極性は大事です!)。

基本的に司法試験の受験指導を受ける場合、指導のレベルを決めるのは受講生です。積極的に講師にアタックしていくことは非常に大事です。

 

この記事を書いた人
ナオ

平成25年度の予備試験に合格。平成26年度の司法試験に合格。平成28年に弁護士登録。

都内で弁護士として実務に携わりながら、某大学法学部で司法試験、予備試験志望の学生のゼミで指導員をするとともに、司法試験予備校の論文答案添削など、司法試験の受験指導に積極的に取り組むサッカー大好き弁護士です。

個別受験指導もしています。

Twitter(https://twitter.com/nao_izumiya)

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