司法試験や予備試験の勉強をしていて、避けて通れないのが過去問の検討です。そこで今回は、過去問の使い方について、私なりの考えを紹介したいと思います。
この点は、恐らく合格者や受験指導をしている方でも見解が分かれやすいところだと思いますので、あくまでも私なりの考えと思って、読んでもらえればと思います。
自分に合った方法で過去問を活用することは、司法試験・予備試験合格のために非常に有効な学習方法のひとつですので、ぜひ上手に過去問を活用してください。
司法試験短答式の過去問について
まずは司法試験短答式の過去問を使った学習方法について、初学者の方向けと、ある程度学習が進んだ方向けに分けて紹介します。
司法試験初学者向け
初学者の方でも、最初から短答式の過去問を解くメリットはあります。
それは、「自分が勉強している(これから勉強する)知識がどのような形で問われるのか」を把握できることです。
これがわかることによって、
- 今後どのような勉強をすれば問題に正解できるようになるのか
- 同じ知識について別の問い方で何回も問われていること
などが具体的にイメージできるようになります。
個人的には、その日学習した分野について、過去問を解いてみることをお勧めします。
復習にもなりますし、学習が進んでいけば何回も解くことになる問題を、早い段階で一通り解いておけるのは大きいです。
また、はじめて学習していく段階で、難易度の高い過去問を一気にたくさん解くのは負担が大きいので、毎日少しずつ解いていけるのも、この方法のメリットです。
司法試験学習がある程度進んだ人向け
それなりにインプットが進んだ方は、短答対策として、短答式の過去問を繰り返し解いていくことになります。
ここで注意が必要なのが、「何周したか」ではなく、「どれだけ丁寧に勉強したか」です。
問題と解いて解説を読んで終わりにするのではなく、解説に記載のある条文・判例にあたって一つ一つをしっかりと確認していくことで、当該条文・判例の勉強にもなります。
そういった丁寧な勉強を「繰り返し何周もする」ことによって、短答式の過去問を解きながら、基本的知識を習得することが出来ます。
また、過去の短答式試験に出題された知識が、自分のベーステキスト(※)に載っていなかった場合には、ベーステキストに一元化しておくと、直前期の復習の際に、短答式と論文式の両方を復習できるのでお勧めです。
※「ベーステキスト」というのは一般的な言葉ではないかもしれませんが、司法試験受験生時代の私の周囲で使われていた言葉です。
司法試験用の教材を自分用にカスタマイズしたもので、それ一冊で重要な知識の確認や試験直前期の総復習に使用するものを指しています。
司法試験論文式の過去問について
次に司法試験の論文式の過去問を使った学習方法について、初学者の方向けと、ある程度学習が進んだ方向けに分けて紹介します。
司法試験初学者向け
私は、初学者の段階で論文式の過去問を見ることをあまりお勧めしていません。
それは、知識があまりない状態で論文式の過去問を見て、解説を読んでも、学習効果が低いからです。
もちろんまったくの無意味というわけではありませんので、息抜きも兼ねて「どんな問題が出るのかな」というくらいで軽く目を通しておくというのは良いと思いますが、知識が少ない段階であまり真剣に論文式の過去問と向き合っても、それほど得るものはないと思います。
ですので、初学者の段階では、論文式の過去問には触れなくても大丈夫です。
もっともこれはあくまでも初学者レベルの話であって、学習が進んでいけば論文式の過去問の検討は絶対に必要になってきますので、早く過去問に触れるようにインプットをガンガン進めていくという意識を持っておくと、一つのモチベーションになると思います。
司法試験学習がある程度進んだ人向け
ある程度のインプットが済んだ方は、いよいよ本格的に過去問検討に入っていくことになります。
その際、まず何も見ないで、本番と同じ時間で、実際に書いてみるということをお勧めします。
答案構成だけであったり、時間無制限であったりしてしまうと、実際今自分がどれだけ書けるのかがわからないので、本番と同様の環境下で書いて、自分の現在地を知ることが重要です。
次に書いたものについてですが、出来れば合格者やローの先生等、一定の信頼に足る人物に添削してもらうのが理想です。
そういった方が周りにいないという方は、自己添削をせざるを得ないと思いますが、自分の答案に内在している問題に自分で気づくというのは非常に難しいので、やはり一定以上の実力がある第三者に答案を見てもらえるようにするのが、合格への近道ではないでしょうか。
また、起案をした後は、必ず出題趣旨・採点実感を読みましょう。
この2つは「司法試験の取り扱い説明書」のようなものです。
出題趣旨では、何が問われていたのかを確認し、採点実感においては、試験委員が何を求め、何を求めていないのか(してほしくないのか)をしっかりと確認しましょう。
出題趣旨を読むにあたっては、求められていたことと自分の答案がズレていないか、どこがズレているのか、なぜそのズレが生じたのかを検証する必要があります。
その修正をしなければ、出題趣旨に沿った答案を書けるようにはなりません。
採点実感は、主に「試験委員が何をしてほしくないのか」に着目しましょう。
今後の起案において、試験委員がしてほしくないことをしていては、合格は遠のくばかりです。
また、「試験委員が何を求めていたか」を検討するにあたっては、どのような答案に高い評価を与えたのかに着目しましょう。
何年分か解いていれば、ある程度の共通項が見いだせると思いますので、それを今後自分の起案に活かしていくことが、合格に近づく一番の早道です。
論文式の過去問を複数回解くべきか?
ここでしばしば見解が分かれるのが、「一度解いた問題を複数回解く必要があるか」ということです。私個人の見解としては、「複数回解く必要はない」と思います。
それは、一回解いた問題は、何を書けばいいのかわかっているため、起案する時間(コスト)と得られる利益のバランスが悪いと考えるからです。
その分、一回目の起案および分析をしっかりと行うことが重要です。
また、繰り返さないことで解く問題数が少なくなってしまわないかという点ですが、複数年度の過去問を起案・分析すれば、量もある程度は確保できますので、私は同じ問題を何回も起案する必要はないと考えています。
最後に
以上が、私が考える予備試験司法試験の過去問の使い方です。
冒頭にも触れた通り、過去問の活用方法については人それぞれ様々な考え方があると思いますが、今回の記事は、別の考え方を否定する趣旨ではなく、あくまでも私個人の見解であることを理解していただければと思います。
どのような方法にしろ、過去問の検討は必要不可欠なので、しっかりと検討して合格に向かっていってください!
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