司法試験、予備試験の勉強をしていると、例えば論証集の中に抽象的なキーワードが登場してくることも多いのですが、論文答案を作成するときに、この抽象的なキーワードの使い方がポイントになってくることがあります。
司法試験におけるキーワードは抽象的な言葉が多い
司法試験の勉強をしていて論証集などを読んでいると、抽象的なワードが多く存在します。
例えば
- 「取引安全の要請」
- 「人権のインフレ化」
- 「会社の事務処理上の便宜」
等々、例を挙げればきりがありません。
当然これは、論文答案においては規範定立の際に書くことになるキーワードです。では、皆さん、これらの抽象的なキーワードの意味をしっかりと理解していますか?
抽象的なキーワードを、深く理解せず論文答案で使用することにはリスクがある
例えば、「取引安全の要請」という言葉がありますが、この言葉は民法の様々な場面で登場してくるかと思います。
確かに、どの場面においても「取引安全の要請」というキーワードの意味自体は変わりません。
しかし、「どのような取引の安全についての、どのような要請なのか」という具体的な内容は、場面ごとに異なってくるはずです。
そうなのであれば、その場面における「取引安全の要請」とは何なのか、ということを具体的に説明できなければ、検討内容がズレていってしまう可能性があり、それは減点に繋がってしまいます。
論文答案作成では抽象的なキーワードの具体的な内容を理解しよう
規範定立をコンパクトに行う上で、抽象的なキーワードはとても便利なものですが、その具体的な内容をしっかりと説明できないと、自分が何を書いているのかすら、わからなくなってしまう可能性があります。
これは論証集を活用するときと同じで、しっかりとした理解が伴っていれば、とても強力な武器になりますが、浅い理解で使えば、「キーワード自体は書かれているが、論証の内容にズレが生じている」という状態になり、採点者にはそれが伝わってしまいますので、結果として高い評価がつかなくなります。
より深く論文問題の事案を検討するにあたっては、検討の際に使う規範が正確である必要があるとともに、抽象的なキーワードの内容まで理解しておく必要があります。
最後に
結局のところ、抽象的なキーワードとは、「その内容を全て書くと規範定立部分が長くなり、頭でっかちの答案になってしまうため、コンパクトにまとめたもの」にすぎません。
なので、学習の際には、抽象的なキーワードを覚えることよりも、「そのキーワードにまとめられている内容は何なのか」を理解することの方がより重要です。
論証集から勉強を始める人の中にはこの点が不十分な人もいて、抽象的なキーワード自体は知っていても内容の理解が浅いため、論文答案における論証の出来が悪くなってしまっているケースがあります。
そうならないためにも、しっかりと地に足を付けて、一歩一歩理解を深めていくという勉強をしていきましょう。
論証集の使い方については、『司法試験対策で論証は暗記するべき?』でも紹介していますので、興味のある方はそちらも参考にしてみてください。
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