今日は民法の問題を解く際の思考方法について触れようと思います。
1 効果から考える
まず、民法では様々な設問が考えられますが、基本的には、「その人が何を求めているのか」という点から考えるとよいと思います。
例えば、金銭の支払いを求めているのか、何らかの物の引き渡しを求めているのか等、何を求めているのかを把握するところから考えると思考がすっきりすると思います。
2 効果を発生させる根拠の特定
次に、何を求めているのかを把握したら、それを実現するためには民法上のどの請求権を根拠にするのかということを考えましょう。
例えば、金銭の支払いについて、何らかの契約があれば当該契約に基づく請求というものが考えられますし、契約が未だ履行されていなければ債務不履行に基づく損害賠償請求というものが考えられるでしょう。
契約がない場合は、事務管理・不当利得・不法行為や債権者代位権の行使等も根拠となりえます。
3 請求権の発生要件は何か
請求権が特定されたならば、その後は、当該請求権が発生する要件は何かということを考えましょう。
ここはあまり要件事実的に考えないで、条文上又は解釈上求められる要件が何かという点を考えればよいと思います。
このように、順を追って考えていくと、恐らくどこかで「論点」が出てくると思います。そこで論点について触れれば検討漏れがないと思います。
4 要件事実は最後に
ここまで考えられれば、後は要件事実的な思考が求められる問題であれば、要件事実的に考えて、どちらが何を立証しなければならないかということを考えれば、要件事実の問題にも対応できます。
5 まとめ
要するに、その人が求めていることを民法上叶えるためにはどのような訴訟物を選択すればよいか、当該訴訟物の請求権の発生要件は何か、その要件は誰が立証しなければならないのかという思考方法を辿れば、民法の問題に関して検討漏れは恐らくないと思います。
あとは、この思考方法を設問に合わせて使えば、およそ全ての問題に対応できると思います。
こうなると、民法の論文を解くには、民法の体系的な理解が重要になってきます。民法は論点も多く理解すべき知識も多いため、ごちゃごちゃになってしまいがちですが、その知識を自分の頭の中でしっかりと整理して、適切な請求権を選択して、その請求権の発生要件をしっかり押さえること。
これが、民法の論文を解くうえで非常に重要となってきますので、知識を整理してから、本試験に臨みましょう。
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