学生の話を聞くと、判例百選を読んだことがないという声を耳にします。百選は、とても重要なので、しっかりと読みこむ必要がありますが、アレルギーをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今回は「百選の加工方法」をご紹介しますので、これを参考に百選通読をより効果的にできるようになってくれればと思います。
司法試験用のベースノートの作り方について『司法試験勉強用ベースノート作成のススメ』でも解説していますので、もしよければそちらも参考にしてください。
判例百選への書込:問題の所在をメモする
百選は、その題名だけ見ても、問題の所在が何なのかはっきりしないものが多いです。
そこで、空いているところに、自分なりに読んでみて、「問題の所在はどこなのか」ということを探しながら読むと、能動的に百選を読むことができると思います。
判例百選への書込:理由が書いていなければ自分で補充する
百選を読んでいると、結論だけ書いてあって、理由が書いていないことがあります。
これだと、なんでこの結論になるのかがわかりませんから、論文で出たときに理由を書くことができません。
こういった場合は、余白に理由を書き込みましょう。
後でも少し触れますが、理由は解説に書いてあることもありますし、基本書等に載っているケースもあります。その理由を調べる作業もまた勉強になるので、理由がわかったら、余白に書き込むようにしましょう。
判例百選への書込:掲載されていない判例が出てきたら、貼り付ける
短答式の過去問を解いていて、百選に掲載されていない判例にあたることは珍しいことではありません。
もっとも、「百選に載ってないから問題ないだろう。」という考えは危険です。
一度出された以上、過去問を解いていることが前提となっているので、再度出題されても文句は言えないからです。
なので、百選に掲載されていない判例に出会ったら、判例検索して、小さくプリントアウトして、例えば、見開きの右側のページに貼り付ける等して、一元化しておきましょう。
判例百選への書込:アンダーラインはメリハリをつけましょう
線を引くときは、全部が重要のように思え、ついつい長々と引いてしまいがちですが、細かくてもいいので、メリハリをつけましょう。キーワードを覚える際にも有用です。
判例百選への書込:判旨をまとめて、簡単に記載しておくことも有用
判例の中には、その内容を簡単にまとめておくと、そのまま判断枠組みとして使えるものや、図式化すると、少しわかりやすくなったりしますので、場合によっては、簡単に内容をまとめることも、有用な場合があります。
また、場合によっては、論証自体を百選に貼り付けてしまうということもあります。
これは、百選の引用とは違った部分に関するものであったり、理由は様々ですが、論証で押さえた方が早い場合には、論証を貼り付けるというのも一つです。
判例百選への書込:判旨に拘らず、わからなければ解説を読んでみる
判旨に書いていることがいまいちピンとこないことは、往々にしてありうることです。
そこで、解説を読んでみると、案外わかりやすかったりします。なので、解説をうまく使うことも百選を読み進めていく上では、重要でしょう。
判例百選への書込:加工の目的って何?
今まで加工の方法論についてご紹介してきましたが、加工の目的は主に2つあります。
一つは、無思考に加工するのではなく、考えながら加工することで、「百選を能動的に読めること」です。
どこに線を引いたらいいか、どんな工夫をすれば分かりやすいか等を考えながら加工することで、能動的・主体的に百選を読み進めていけるようになり、理解するのが早くなります。
もう一つは、いつも言っている通り、「情報の一元化」ですね。百選一冊に様々な情報を足していき、しかも、その加工方法も読み返しやすいように工夫されていれば、たくさんの情報量を効率的に復習できるようになります。
判例百選への書き込みは事案分析にも最適
判例百選には、事案の概要が書いてありますが、これを自分なりに整理して、関係図なんかを作成すれば、事案の分析のトレーニングにもなりますよね。
最後に
百選は、合格に向けて避けて通れないといっても過言ではないほど重要です。
その重要な百選をいかに能動的・主体的に読めるかによって、百選へのハードルは低くなり、学習しやすくなるはずです。皆さんなりの工夫をして、百選を攻略しましょう!
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