【勉強法紹介】予備試験10番台の勉強方法!

司法試験の勉強法

今回は、令和5年度予備試験論文式試験で10番台だったむしどりさん(@yobi_mushidori)の勉強方法についてご紹介したいと思います。

なお、令和3年度の予備試験論文二桁で合格した方の勉強方法を紹介した、https://blog.izumiya-law.com/1008も参考になると思いますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。

X(旧Twitter)でも注目されているむしどりさんの勉強方法について、気になる方も多いと思いますので、皆様の勉強方法の参考になれば幸いです。では、どうぞ。

合格体験記

こんにちは、むしどりです!

働きながら予備試験を受験し、2回目の受験である令和5年度の試験に最終合格しました。

今回は、予備試験の論文合格に至るまでの道筋を、時系列に沿って書いてみようと思います。

なお、1年目の受験(2021年5月~2022年7月)は平日1~2時間、休日8時間、2年目の受験(2022年8月~2023年9月)は平日4~5時間、休日8時間程度です。

1.基礎講座の受講(2021年5月~10月)

利用したのはstudyingでした。

理由は、安かったのも勿論ありますが、何よりも講義の時間が短かったためです。

1講義平均40分程度の長さで、1科目約50回ほどでまとまっており、大変コンパクトです。

この段階で重視したのは、とにかく挫折しないことでした(実は大学2年の時に独学で予備を受けようとして1か月で挫折した過去があります笑)。

そのため、所要時間が短く、素早く全体を一周できるstudyingに決めました。

通勤電車の中や昼休みの時間にスマホで講義を聞き、帰宅後その日聞いた回のレジュメを復習しました

その際、自作問題集を作成します。

例えば、八幡製鉄事件判決とは何か?みたいな、ざっくりとした問題です。解答は紙には書かず、脳内で済ませます。

この、自分で問題を作り(脳内解答で)繰り返し解くという手法は、私が大学生の時、大学の試験対策で編み出した手法です。

平日で5講義分進め、土日で平日進めた分の復習(自作問題を解き直します)をしました。

2週間で1科目(民法は1か月)のペースで進めました。

全科目終了した後は、自作問題集をベースに講義の内容を復習し、盤石な基礎力の醸成に努めました。

2.論文対策:初級編(2021年12月~2022年2月)

伊藤塾の赤本(試験対策問題集)を、実務基礎も含めて解きました。

実務基礎はstudyingで簡単な基礎を学んだ後すぐに赤本に取り組みました。

この段階でも起案はせず、脳内構成のみでした。3周ほどしたと思います。

全く歯が立たず、不安になったことだけ覚えています。

この時期に選択科目の経済法の基礎講座(bexa剛力先生の講義)を聴講し、論点解析経済法という本も3周しました。これまた脳内構成です。

3.短答対策(2022年3月~5月)

憲法以外の6科目は伊藤塾マコタンを使用しました。憲法のみ短パフェ使いました。

マコタンを選んだのは量がコンパクトだったからです(今は法学書院が潰れたことで絶版になっているようです。)。

憲法のみ短パフェにしたのは、マコタンと過去問集のどちらが効果的かを見極め、来年以降の短答対策に活かすためです。

1周目は、普通に解きます。これまで基礎講座や論文対策で十分解答できる問題には×印をつけ、当該問題は二度と解かないようにしていました。とはいえ、×が着く問題は2~3割程度でした。

1章終わるごとに最初に戻って×以外を解き直していました。最後まで終わるころには、2周したことになります。

3周目は×以外を順に解いていきました。その際分からない問題や間違えた問題に☑を付けます。

これで全選択肢が①×、②何もマークしていない問題、③☑の3つに分けられることになります。以後は③を中心に周回し、たまにメンテナンスがてら②も解き直していました。

短答の結果は、以下の通り(紛失したため、写真はナシです)

憲法26、行政法18、民法22、商法18、民訴19、刑法23、刑訴19、教養36、総合175(法律145)

4.論文直前期(2022年5月~7月)

この時はとにかく過去問を解きました。基本的に答案構成で解き進めました。

とはいえ起案経験ほぼ0で本番を迎えるのはまずいので、この時期に集中的に泉谷先生の個別指導を受けました(後述)。

提出した答案は毎回ボロボロでしたが、丁寧な指導を受けたおかげで少しずつ形になっていきました。

が、無情にも本番が来てしまい、、、

こんな感じで大敗を喫してしまいます。

5.泉谷先生の個別指導

泉谷先生には、2022年の論文試験の前後半年程度、お手伝いをしてもらいました。

泉谷先生の添削は、とても細かく、特に当てはめにおいては、しっかりと理由を書かないと「なぜ?」という指摘がすぐに飛んできました(笑)

ただ、「結論はどちらでもいいから、説得的な当てはめをしましょう!」と言われ、私自身もこの試験に絶対的な正解はないと思っていたので、その点は安心できました。また、先生は答案の形式面も重視されるので、ナンバリングの振り方なども参考になりました。

先生の個別指導を通して私の答案の型が定まったと思います。

また、論文試験とは関係ありませんが、口述試験の際にもお手伝いいただきました。予備校の模試とは少し異なり、コミュニケーションが取れているか否かを重視した練習をしてもらい、当日も考査委員とコミュニケーションを取ることを意識できたのは良かったと思います。

6.論文対策:重問・判例百選講座(2022年7月~2023年1月)

①重要問題演習習得講座(7月~10月、1月)

問題を解いていて気づいた自分の弱点は論点抽出能力の低さでした。

そしてその原因が論点についての知識不足に由来することは明らかでした(民訴の原告適格の判例を何一つ知らない、そもそも原告適格の定義も知らない、など)。

そこで、当時、網羅性最強と言われていたアガルートの重要問題演習習得講座を購入し、論文の次の日からすぐに学習を開始しました。

1周目は、問題を見る⇒軽く脳内構成(5-10分)⇒解答を見る、という流れで進めました。

そして一定数解いたら、もう1回それを解き直したうえで、問題文をスマホのメモに要約していきました。

要約の際は、細かい問題文の事情は無視し、問題を成り立たせるうえで核となる事情に絞って要約しました。この作業を通じて、なぜその論点を論じる必要があるのか、という点を強く意識することができました。

1日8~10問、1週間で1科目のペースで進めました。

②判例百選スピード攻略講座(11月~1月)

また、もう一つ私が感じていたこととして、判例の知識不足でした。

憲法や民訴ではほぼ必ず「判例を参考にして」答えなさい、といった形式の問題が出されますが、いつも参照すべき判例を想起できず、筋の外れた答案を書いてしまっていました。

そこで、「判例」に強くなるため、アガルートの判例百選スピード攻略講座(渡辺先生)を受講しました。

使い方としては、講義を聞き、それを復習する問シンプルなものでした。

自作問題集のようなものは作らず、判例名を見て、①事案の概要、②論点抽出、③なぜそれが論点化するのか、④規範定立、⑤当てはめ時のキーワードを脳内反芻していました。

百選講座は判例の理解が深まったのはもちろん、渡辺先生の一貫した思考フローを体得することができるという点でも非常に有用な講義でした。

重問と判例百選講座を繰り返しこなし、徹底的に叩き込むことが令和5年の合格に繋がったのだと思います。

③答練の受講

お前全然起案してへんやんけという声がそろそろ聞こえてきそうですが、伊藤塾のコンプリート論文答練を毎週解いていました。

これで定期的な起案の機会を作っていました。

答練の成績はこちら

7.自作論証集の作成(2023年2月~3月)

重問と百選講座のおかげで論点抽出はできるようになったのですが、答練の点数は思ったほど伸びませんでした。

その原因は、規範の文言をあやふやにしか覚えていなかったことでした。つまり、論証を暗記しておらず、いつも現場で少しズレた規範を定立してしまい、その結果当てはめもズレてしまい…ということで点数が伸び悩んでいたのでした。

脳内構成は効率よく周回はできるのですが、1回1回の質はどうしても低くなりがちです。脳内構成の弊害が出てきてしまったということです。

とはいえ、予備校の論証をそのまま覚えるのは苦手だったので、自作論証集を作ることにしました。

といってもそんな大層な物ではなく、重問の規範+理由付けを、自分が使いやすいように改造しただけです。

意識したのは、①丸写しではなく、自分の言葉で書くこと、②理解できない部分や、必要性を感じない部分は削ること、です。

この作業を通じ、論証の正確性が大きく向上したのはもちろん、一個一個丁寧に論点と向き合うことができ、論点への理解が一気に深まりました。

答練でも30点以上を取れるようになり、実力が大きく向上しました。

この時点で合格水準の実力に達していたと思います。

なお、百選講座やシケタイでも同様に自作論証集も作成しました(重問と重複する論証は除きます)。

8.選択科目(経済法)の強化(2023年4月~5月)

選択科目は前年の論文以来放置していましたが、そろそろやばいと思い、着手しました。

ここでは辰巳の選択科目特訓講座(経済法:西山先生)を受講しました。

各行為類型の考え方、当てはめのポイントを、司法試験過去問を題材に分かりやすく解説してくれる神講座でした。

講義を聞き、講義で扱った過去問を繰り返し解く、というオーソドックスな方法で学びました。

並行して、自作論証集を周回し、論証暗記を進めていました。

9.短答直前期(2023年6月~7月)

6月から短答対策を始めました。

やり方は前年と一緒です。

特に刑訴に力を入れました。刑訴のみマコタンに加え短パフェを追加しています。苦手だったのと、実務基礎の手続き問題(勾留や尋問、公判前整理手続)とのシナジーがあったからです。

その成果なのか、刑訴はかなりいい点が取れました↓

10.論文直前期(2023年7月~9月)

直前期は、本番に向けて知識を最大化・最深化すること(ピーキング)、答練・模試を通して本番での振舞い方を確立することを目的としました。

短答の勉強をしている段階から、空き時間を見つけて直前期の勉強をかなり綿密に計画していました。

まず、短答終了後の7月いっぱい(2週間ほど)使って、重問とは百選を1周し、知識水準を戻しました。

8月に入ってからは過去問演習です。起案はせず、答案構成のみで解きまくります(全年全科目2周ほど)。

土日は辰巳の直前答練・直前模試を受けました。起案の機会はこれだけと決めていました。

試験2週間前から重問と百選をダメ押しでもう1周し、加えてこれまでの答練を復習し、更にはシケタイももう1周しました。また、最後の週に論証を暗記しました。

職場の夏季休暇も全て勉強につぎ込み、ピーキングに努めました。

ここまで来たら気合と根性って感じで、仕事以外のすべての時間を勉強に詰め込みました。

それでもやりたいことを全部することはできませんでした(例えば、経済法の論点解析を十分に復習できないまま本番を迎えてしまいました)。

11.

直前期の頑張りもあってか、本番は結構いい手ごたえでした。全部4枚目までいったし、全く分からないという問題は少なかったです。300~400番くらいで合格したのではないかという感触でした。

再現答案はこちらから見られますので、ぜひご覧ください。

むしどりnote

結果は合格。

想像以上の好順位でびっくりしたのを覚えています。

以上、私が予備論文に合格に至るまでの経緯をざっくりとお話してきました。

合格までの2年強、一日たりとも勉強は欠かしませんでした。コロナにかかった日も勉強しました(数十分ほどですが)。

予備試験は、どんなにいい教材を使おうが、どんなにいい先生に教わろうが、自分で継続して勉強しないと絶対に受からない試験です。結局のところこれに尽きると思います。

辛く苦しい日々が続きますが、この記事を見て少しでもモチベーションアップに繋がれば幸いです。

最後に

個人的にすごいと思ったのは、一度不合格になってからの勉強時間です。働きなが平日4~5時間、休日は8時間というのはかなり多いと思います。35~40時間以上勉強されているのは、社会人受験生の中でもかなり多いのではないでしょうか。

むしどりさんも最後に仰っていますが、結局は自分が頑張るか頑張らないかが大事な試験です。我々個別指導講師は、そのサポートをするにすぎません。受験生自身の頑張りなしに合格は成し得ないと思います。

勉強方法もそうですが、試験との向き合い方についても非常に参考になったと思います!これを見て、皆様の参考になればとても嬉しく思います!

この記事を書いた人
ナオ

平成25年度の予備試験に合格。平成26年度の司法試験に合格。平成28年に弁護士登録。

都内で弁護士として実務に携わりながら、某大学法学部で司法試験、予備試験志望の学生のゼミで指導員をするとともに、司法試験予備校の論文答案添削など、司法試験の受験指導に積極的に取り組むサッカー大好き弁護士です。

個別受験指導もしています。

Twitter(https://twitter.com/nao_izumiya)

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