よく見る答案で、「~罪が成立するが、正当防衛が成立するため、~罪は成立しない。」という文章があります。
これって、これだけでとんでもない論理矛盾をおこしてるんですよね。でも、こういった答案は少なからずあるのも事実です。
原因は、犯罪は構成要件に該当する違法有責な行為であるという基本的な概念の理解が乏しいということです。
上の文章、正しくは「~罪の構成要件に該当するが、正当防衛が成立するため違法性が阻却されるので、~罪は成立しない。」というものです。
つまり、冒頭のような文章を書く人は、構成要件該当性・違法性・有責性の区別がしっかりと出来ていないのです。
法律家は言葉を使って仕事をするので、自分が使う言葉には気を使います(このブログではあまり気にして書いていませんが(笑))。
そのため、実務家登用試験である司法試験を受験する受験生も言葉や表現には正確性が求められます。そして、その正確性の根っこにあるのは正しい理解です。
論文答案の言葉には、その人の理解度が表れます。こういった端々の表現にまで神経を使うことが、良い答案を書くファーストステップなのではないでしょうか。
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