当てはめの仕方。

司法試験・予備試験
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今回はあてはめの仕方について考えてみたいと思います。

今まで某司法試験予備校の添削や自主ゼミ、合格後のゼミや現在受け持っているゼミの中で、数え切れないほど(1000通以上))の答案を読んで添削してきました。

その中で、当てはめの部分が不十分な答案というのが非常に多かったです。その多くは、単に事実を羅列するだけの答案でした。例えば、「Aという事実があるからBといえる。」といった答案で、なぜAという事実があると、Bという結論が出るのかが示されていない答案です。

法律の世界というのは、短答式試験を除いては、「正解」というものはありません。重要なのは、なぜその結論に至ったのかという理由の説得力です。

もちろん、結論の妥当性というのは重要ですが、例えば、何の法律でもいいですが、ある人の責任が問われている場合、責任ありという結論もなしという結論も両方あり得るといった場合、結論をどちらにしたからによって、評価が変わるということはほとんどないと思います。

評価が分かれるのは、その結論に至った「理由」、即ち問題提起から結論に至る論述の説得力にあります。

一例として、「これから外出するが、今は雨は降っていない。もっとも、今日の降水確率は80%だった。だから、私は傘を持っていくことにした。」この文章に抜けているものは何でしょうか。それは、「降水確率が80%である」という事実の「評価」が抜けているのです。「降水確率80%であれば、現在の天気予報の精度から考えると、相当程度の確率で雨が降ることが予想される。」から傘を持っていくという結論に至るのではないでしょうか。

ここからわかることは、司法試験や予備試験の答案でも同様に、「Aという事実があり、それはBと評価できるので、Cといえる。」というように、事実の適示⇒当該事実の評価⇒結論という流れで論じる必要があります。この評価がいかに説得的かは、論文の評価を考慮する重要な要素といえます。

また、例えば自分が責任を肯定する立場をとった場合、責任と否定する側の人はどのような主張(反論)をするかということを意識することも重要です。それは、自分の立場の論拠となるような事実だけを拾い、その事実を自分に有利に評価するだけでは、相手方の反論に耐えられない可能性があります。

だからこそ、相手方の反論を予想して、「確かにAという事実はBとも評価できるためCといえるとも思える。しかし、Aという事実はB´と評価することもでき、Dという事実も併せて考えればこちらの評価の方が自然といえるため、C´といいえる」というように、相手方の想定される反論や相手方にとって有利な事実を摘示した上で、それを覆すことにより、自分の論述が一方的・片面的なものではなくなるため、説得力が増すことになります。

実際に、受験生の頃、私は、厚く書くべき点については「確かに~。しかし~。」という枠組みで書くと決めており、このような枠組みで書くと最初から決めていると、問題文を読む際にも、「これはこっちに有利」や「反対事情に使えそう」といった観点から読むことが出来、問題文の深い分析に資することになります。

以上のことから、あてはめをする際には、

  1. 事実の適示⇒当該事実の評価⇒結論という流れで論じること
  2. 反対事情を無視しないで、反論を想定して、それを覆すこと

この2点を意識して、当てはめの説得力を上げることで、良いあてはめが出来るようになると思います。

この記事を書いた人
ナオ

平成25年度の予備試験に合格。平成26年度の司法試験に合格。平成28年に弁護士登録。

都内で弁護士として実務に携わりながら、某大学法学部で司法試験、予備試験志望の学生のゼミで指導員をするとともに、司法試験予備校の論文答案添削など、司法試験の受験指導に積極的に取り組むサッカー大好き弁護士です。

個別受験指導もしています。

Twitter(https://twitter.com/nao_izumiya)

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